ぬか床の作り方を老舗漬物店が伝授!
初心者も気軽に作れる簡単レシピ
簡単に美味しく栄養が摂れる身近な発酵食・ぬか漬け。ぬか床の作り方はいろいろありますが、70年以上ぬか漬けを漬け続ける老舗漬物店・畠田商店が、家庭でできるレシピをお教えします。初心者でも気軽に始められるように、身近に手に入る材料と道具でご紹介します。
1.初心者でも簡単!「ぬか床の作り方
ぬか漬け作りの工程は「ぬか床作り」「捨て漬け」「本漬け」のたった3ステップ。必要な食材・道具は、スーパーなどでも手軽に準備できるものばかりです。初めての方も気軽にチャレンジしてみてください。
ぬか床の材料
まずは、米ぬかに水や塩、調味料を加えて「ぬか床」を作ります。今回は、手軽に作れる米ぬか1kgのレシピをご紹介。1kgの米ぬかで、きゅうり2本ほどを漬けることができます。初心者さんは、少量から始めてみてはいかがでしょうか。
米ぬか | 1kg |
---|---|
塩 | 130g(米ぬかの13%) |
水 | 1L |
蓋つきの容器 | ぬか床1kgの場合、2~3リットルサイズ |
Point
米ぬかは、「生ぬか」と「炒りぬか」の2種類。味の違いはなく、保存期間が異なります。生の米ぬかは酸化しやすいため、保存期間は1週間程度。精米直後のものを、すぐにぬか床にする必要があります。
水分を飛ばした「炒りぬか」は、スーパーやネットでも気軽に手に入ります。保存期間は冷蔵庫で1カ月程度。生ぬかよりも発酵速度がゆるやかです。どちらを使用するかはお好みで選んでみてください。
ぬか床のレシピ
1 | 鍋に水を入れる。沸騰したら、塩を入れて溶かす。 |
---|---|
2 | 別の鍋にぬかを入れて、弱火にかけて炒める。きつね色になったら、火を止めて冷ます。 |
3 | 熱がとれた2を大きめのボウルに移し、塩水を数回に分けて混ぜる。 |
4 | 全体を混ぜ合わせて、味噌ぐらいの固さにする。 |
5 | 蓋つきの容器にぬか4を入れる。 |
2.「捨て漬け」でぬか床の発酵を促進
ぬか漬けは、乳酸菌発酵のチカラで食材を漬物にしています。ぬか床の材料をまぜただけでは、まだ乳酸菌が発酵していないため、すぐに漬けることができません。そのため、本漬けを始める前に、ぬか床の発酵を促す「捨て漬け」が必要です。
捨て漬けの材料
捨て漬け用の野菜 | |
---|---|
昆布 | 約10㎝×10㎝ |
唐辛子 | 2~3本 |
山椒 | 10g |
Point
捨て漬け用の野菜は、大根やキャベツなど水分の多い葉物野菜が向いています。切れ端や皮、芯など調理で余る部分でも可。
昆布、唐辛子、山椒は、うま味と香りを加えてくれます。唐辛子は、防腐・防虫効果も期待できると言われています。このほか、鰹節や干ししいたけ、柚子の皮は風味付けに。慣れてきたら、さまざまな乾物・香辛料を組み合わせて自分好みにアレンジしてみてください。
捨て漬けの手順
1 | ぬか床に、捨て漬け用の野菜を入れる。 |
---|---|
2 | 昆布、唐辛子、山椒を入れる。 |
3 | 食材が空気に触れないように、ぬか床の表面を平らにする。 |
4 | 雑菌の増殖を防ぐために、キッチンペーパーを濡らしてしぼり、容器の内側を拭く。 |
5 | ラップをかぶせて、この上から容器の大きさに合った重しを置く。常温の冷暗所で寝かせる。※漬け物用の重しが無い場合は、水を入れた2Lのペットボトルでも代用できます。 |
6 | 3~5日後に、捨て漬け野菜を取り出す。この時、野菜に付いたぬかと、野菜から出る水分を絞ってぬかに入れる。昆布はこの時点で取り出しておく。 |
7 | ぬか漬けをしっかり混ぜて、新しい捨て漬け野菜を容器に入れる。 |
8 | 1日2回程度、底のぬかを表面に出すようにかき混ぜる。 |
9 | 7、8の工程を約2~3週間繰り返す。 |
10 | 味見をして、ぬか床らしい味と香りがしたら完成。 |
3.いよいよ本番!「本漬け」をスタート
ぬか床が完成したら、お待ちかねの「本漬け」。生野菜をそのままぬか床へ入れる方法もありますが、当店では全ての野菜を浅漬けにした後、ぬか床で漬けています。一度浅漬けにすることで水分が抜けて、ぬかがしっかりと浸透しますよ。
浅漬け、ぬか漬けともに、野菜毎にレシピが異なります。詳しい下ごしらえや漬け時間はこちらの記事をご覧ください。
食材をぬか床に入れた後は、ぬか床が空気に触れないようにラップをかけます。蓋をしたら重しをかけて、しっかりと野菜の水分を抜きながら、さらにぬか床を浸透させましょう。
4.ぬか床のお手入れ
ぬか漬けを美味しく漬ける秘訣は、日々のお手入れにあります。常温の場合、夏は1日2~3回、冬は1日1回、冷蔵庫の場合は2日に1回かき混ぜましょう。この時、「酵母菌」が集まりやすい表面のぬかを底へ、「酪酸菌」が集まりやすい底のぬかを表面に出すようにまぜると、ぬか床内の菌のバランスを正常に保つことができます。
5.ぬか漬け作りは初夏や秋がおすすめ
ぬか床が発酵しやすい温度は、20~25度。捨て漬けまでは常温で行うため、ぬか漬け作りをスタートするなら初夏や秋がおすすめです。
今回は、初心者でも家庭で簡単に始められる、ぬか床の作り方をご紹介しました。「ぬか漬け」を日々の食事に取り入れて、手軽に美味しく菌活を始めてみませんか?